私は機械製造を行う会社に勤めていた35歳の男性です。
10年間、設計部で設計業務をしておりました。
特に役職はついておらず、お客さんの注文に従ってCADで設計図を作成し、製造部署へ出図するのが日々の業務でした。
私の部署では一つ大きな問題を抱えておりました。
創業当時のメンバーが努力を積み重ね築いてきた技術により現在の製品があるのですが、当時の情報がしっかり整理されておらず、現在ではブラックボックスと化しているのです。
なぜ製品のこの部分はこういう形となっているのか、なぜこの数値でうまくいくのか等が、今ではよくわからなくなっており、昔からこうだからという理由が設計基準となっておりました。
そんな曖昧な状況で仕事を続けるのが辛くなったため、転職を考えました。
元々設計業務に深い思い入れが無かったので、転職先として別の業種も考え資格を取ることにしました。
これまで何の資格も持っておらず、仕事に関係する勉強を真面目にしたこともなかった私は、自分自身のレベルアップにもなると考え前向きに取り組むこととしました。
そこで挑戦したのが、宅地建物取引士という国家資格です。
比較的取りやすく、資格取得後ステップアップで更に上の資格を取る人も多いという評判だったので選びました。
勉強は独学で行いました。会社に勤めながらの勉強になるので、スクールに通う時間が取りにくいのと、あまり家計に迷惑をかけたくなかったからです。
手始めに参考書と過去問集を買って昼休みや、帰宅後、休日に勉強を進めました。
結果的に2回目の試験で合格することが出来ました。
宅地建物取引士の試験は年に1度しかなく、1度落ちた後しばらくは勉強していなかった時期があり、合計勉強期間は約8ヶ月間でした。
参考までに、資格取得後、一応会社には報告しました。製造業の設計担当には関係のない資格なので、特に評価は変わりませんでしたが。
しかし私の目的は転職だったのでそこには大いに役立ちました。
資格を取る前も転職を考えて調査をしていたのですが、とにかく選択肢が少ないのです。
資格無しで大学卒業後、設計業務しかしてこなかった私は、CADオペレーターくらいしかやれる事がなかったのです。
この業種から離れたいと思っているのにこれでは選びようがありませんでした。
また、将来に関わることなので、中途半端な仕事も選びたくないという思いがありました。
それが資格の存在でガラリと変わりました。
不動産関係では宅地建物取引士は確実に必要なので採用情報が多く見つかりました。
実際何社か履歴書を送りましたが、多くの会社の面接に進むことができました。
そして面接では不動産関係は未経験であるにもかかわらず、資格があったためにいい評価をしていただきました。
最終的にその中から一社を選び、現在は前の会社の整理をしながら入社日を待つ身となっています。
今後は新しい会社で不動産業界のことを覚えながら、司法書士の資格を取るための勉強をしたいと思っております。
司法書士は宅地建物取引士と関連性が高く、合わせて資格を持つ人も多くいるそうです。
今はまだ夢の域を出ませんが、今後自分のステップアップとして、いつか司法書士事務所に入り、最終的には開業という道も目指せるのではないかと思っております。
今回の資格取得から転職までの経験から、資格取得を考えるなら、まずは将来のビジョンを明確に持つ事が大切であると思いました。
資格の中にはあまり実務に活かせないものや、会社の待遇に影響しないようなものもあります。
だから自分がどうしたい、どうなりたいのかをはっきりさせて、取得する資格を決めたらいいと思います。
また、もう一つ経験してわかったことですが、勉強は試験時期から逆算して計画を立てて行うのが良いと思いました。
私が最初に勉強を始めた際は完全な見切り発車で、試験時期も気にせずマイペースに行なっていました。
結果全ての範囲を勉強しきる事ができず、試験に落ちてしまい1年間をムダにしてしまいました。
試験に落ちると時間もお金も無駄になるので、しっかりと計画を立て確実に資格を取りにいきましょう。
今は新たな職場での仕事と将来が楽しみです。